コンクリート構造物の劣化を電気化学的な原理により防止する電気化学的防食工法があります。
急速な経済発展とともに建設されてきた社会資本の根幹をなすコンクリート建造物も、その耐久性は無限ではありません。経年とともに塩害や中性化などによる鋼材腐食を伴う劣化が進み、ひび割れや剥離といった損傷が生じます。
電気化学的防食工法は、このようなコンクリート構造物の劣化を食い止め、構造物の延命化を図るための効果的な技術として広く認められてきました。また、近年では海洋環境など厳しい腐食環境下に置かれた新設構造物の劣化に対する予防保全技術としても利用されるようになってきています。
電気化学的防食工法には、電気防食工法と脱塩工法、再アルカリ化工法などがあり、主として塩害により劣化された構造物に適用されます。いずれも工法適用の目的は、内部鋼材腐食の進行を停止させることにあります。
電気防食工法
コンクリート表面に陽極材を設置して、コンクリートを介し鋼材に防食電流を供給することで、劣化損傷の原因となる鉄筋表面のアノード反応を停止させる工法です。
脱塩工法
コンクリート表面に電解質を介して外部電極を設置し、コンク リート中の鋼材を陰極とし直流電流を流すことで、塩分を電気泳動によってコ ンクリート中から外部電極側へ排出します。
再アルカリ化工法
コンクリートが炭酸ガスにより中性化し劣化した構造物に対する補修工法です。 直流電流を仮設陽極材からコンクリート中鋼材に向かって流すことで、アルカリ溶液がコンクリート中の鋼材に向かって電気浸透させます。
特徴
■再劣化しない
■多量の塩分が存在する環境でも防食可能
■塩分を含有するコンクリートの除去が不要
■鉄筋の防錆処理が不要
■防食効果の確認が容易
電気防食施工後の確認
コンクリート中の鋼材の腐食状況を確認する方法は鋼材の電位を測定して判断します。