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コンクリートの塩害

塩害による劣化と補修方法

 コンクリート構造物の塩害とは、コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンの存在により促進され、腐食生成物の体積膨張がコンクリートにひび割れやはく離を引き起こしたり、鋼材の断面減少などを伴うことにより、構造物の性能が低下し構造物が所定の機能を果たすことができなくなる現象です。

このような劣化を促進する塩化物イオンは、海水や凍結防止剤のように構造物の外部環境から供給される場合と、コンクリート製造時に材料から供給される場合とがあります。

 塩害の劣化因子として塩化物イオンを重視するのは、主にコンクリート中の鉄筋位置の塩化物イオン濃度が腐食発生限界を超えるまでの期間です。

 鉄筋位置に腐食発生限界濃度(例えば2.0kg/m3や2.5kg/m3など)以上の塩化物イオンが侵入し、鉄筋腐食環境が形成(不動態被膜が破壊)されてしまった後は、実際に鉄筋を腐食させる水分と酸素が主たる劣化因子となります。すなわち、まだ鉄筋位置の塩化物イオン濃度が腐食発生限界濃度に達する前の段階であれば、対策工に要求される性能は「劣化因子(塩化物イオン)の遮断」となります。

 また、既に鉄筋位置の塩化物イオン濃度が腐食発生限界濃度に達した後でも鉄筋腐食がまだ進行していない段階であれば、対策工に要求される性能は「劣化因子(水分、酸素)の遮断」とすることができます。

 しかし、コンクリートにひび割れや錆汁の滲出、はく離・はく落などが生じている場合には、既に鉄筋腐食が進行していることを示していますので、この段階で選定すべき対策工は「鉄筋腐食の抑制」を主たる要求性能とすべきです。

 また、劣化の程度や環境条件に応じて「劣化因子(水分、酸素、塩化物イオン)の遮断」や「劣化因子(塩化物イオン)の除去」などの要求性能を組み合わせることが重要です。