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コンクリートの凍害

凍害

凍害とは『コンクリート内部の水分が凍結することにより、コンクリートに悪影響を及ぼす現象』のことであり、大きく初期凍害と凍害に区別されます。

初期凍害とは

初期凍害とはコンクリート打設後十分な強度が発現する前にコンクリート中の水分が凍結して、水和反応が阻害され強度が増進しない現象を指します。
一度初期凍害が発生すると、その後適切な養生を行っても想定した強度が得づらく、劣化に対する抵抗性、水密性等が劣ったコンクリートとなってしまいます。
土木学会のコンクリート標準示方書では初期凍害を防ぐために以下の対策が記載されています。

  • 打込み時のコンクリートの温度は構造物の断面寸法、気象条件等を考慮して、5~20℃とすること。
  • 養生温度は所定の圧縮強度(条件により5~15N/mm)が得られるまで、5℃以上を保つこと。

(建築学会のJASS5では『打込み時のコンクリート温度を10~20℃、養生は5N/mmが得られるまで凍結させないよう初期養生を行う」と記載。)

初期凍害の見分け方と補修方法

初期凍害が発生した場合、コンクリート表面に凍結模様が浮かぶ、またはコンクリート自体が黒ずむなどの現象が発生します。
初期凍害を受けたコンクリートは脆弱で比較的容易に崩れるため脆弱部の範囲で初期凍害の被害を受けた範囲を判断します。

    補修方法として
  • 初期凍害が表層部のみの場合
    ⇒表層部をはつり取りセメントペースト等で補修
  • 初期凍害が内部まで進行している場合
    断面修復工法または新しくコンクリートを打ち直すことも検討が必要

凍害とは

凍害とは、硬化したコンクリート中の水分が凍結するときの膨張によって発生するものであり、長年にわたり凍結と融解を繰り返してコンクリートが徐々に劣化していく現象です。 凍害による劣化形態として次の4項目が挙げられます。

[1]ポップアウト
  • 表層部の骨材の膨張による破壊でできた表面の円錐状の剥離・剥落
[2]微細ひび割れ 
  • 亀甲状や地図状など様々な形で発生
[3]スケーリング
  • 表面が薄片状に剥離・剥落
[4]崩壊
  • 小さな塊が崩壊、劣化が進行すると発生
凍害による亀甲状ひび割れ

凍害の原因と対策

    【原因】
  • ポップアウト
    ⇒骨材の品質が悪い場合に発生
  • 微細ひび割れ、スケーリング
    ⇒コンクリートの品質が劣る場合や適切な空気量が連行されていない場合に発生
    【対策】
  • 品質の良い材料を用いたコンクリートの使用
  • 適切な空気量(約4~6%)が連行されているコンクリートの使用

上記を満足した品質が良好なコンクリートを適切に打込むことで凍害が発生する可能性の低下に繋がります。ただし、構造物にひび割れ等があるとそこから水が浸入することで、コンクリート内部の飽水度が高まり凍害による劣化が促進されてしまいます。

したがってコンクリートのひび割れを最小限に抑えることも、凍害の劣化を抑制する上で重要なポイントとなります。

凍害の補修方法

凍害の補修として以下の方法が一般的です。

【軽微な凍害の場合】
 表面被覆ひび割れ補修により水分の侵入を抑制

【重度な凍害の場合】
 断面修復により脆弱部の除去と鉄筋の防食化

しかしながら、凍害が発生している構造物では中性化塩害アルカリ骨材反応等との複合劣化になっているケースも考えられます。このため補修を行う際にはコンクリート診断士による調査、診断を行うことが重要です。

凍害とは

 コンクリート中の水分の凍結膨張によって発生するものであり、長年にわたる凍結と融解の繰り返しによってコンクリートが徐々に劣化する現象のことを言います。
温暖な宮崎県ではあまり見られないが、山間部の寒冷地のコンクリート構造物にとって、不可避の問題であると言えるでしょう。
 凍害を受けたコンクリート構造物では、コンクリート表面が破砕するスケーリング、亀甲状に発生する微細ひび割れ、及びポップアウト等の形で劣化が顕在化するのが一般的です。

 微細ひび割れ、スケーリングはコンクリートのペースト部分が劣化するものであり、コンクリートの品質が劣る場合や、適切な空気泡が連行されていない場合に多く発生します。コンクリート中の空隙内部の余剰水が、凍結融解を受けて生じる凍害劣化現象は、水分凍結による体積膨張(水は、凍結するときに自由に膨張できる場合9%の体積膨張を生じるといわれています)を吸収する空隙がない場合に、その膨張圧でコンクリートにひび割れが発生したり、コンクリート構造物の表層が剥離するものです。

 一方、ポップアウトはコンクリートに使用している骨材の品質が悪い場合に多くみられる劣化現象です。

 凍害による劣化現象の主となるものは、コンクリート断面の減少であり、その程度によって鋼材腐食が発生する場合も有ります。したがって、凍害による構造物の性能低下は凍害深さによって異なり、凍害によるスケーリング等が発生するまでの潜伏期、凍害は進行するが鋼材腐食にまで至らない進展期、凍害深さが鋼材位置に達して鋼材腐食が進む加速期、凍害深さが鋼材位置より大きくなり耐荷力に影響を及ぼす劣化期に区分されます。