コンクリートの摩耗(すり減り)とは
コンクリート表面を移動する物質によって、コンクリートが継続的な外力を受け、その断面の一部が失われていく現象です。摩耗には、交通車輌の走行による舗装道路面のすり減り、人や荷役機械の移動による床面のすり減り、ダムや水路構造物に見られる砂礫やキャビテーション(空洞現象。流水の断面や向きが変化する場所の近くで空洞部ができ渦を起す現象)によるすり減り、漂砂や消波ブロックの動きによる港湾構造物のすり減りなどがあります。
発生要因
コンクリートのすり減りには大きく分けて、アプレージョン(切削)摩耗と表面疲労摩耗があります。アプレージョン摩耗では、コンクリート表面を摩耗の原因となる物体が移動や、滑ることによってコンクリートを損失させる摩耗で、砂礫によるダム・水路の摩耗、タイヤによる舗装路面の摩耗などはこれに該当します。
一方、表面疲労摩耗では、コンクリート表面に摩耗の原因となる物体が角度をなして衝突することにより、コンクリートを損失させる摩耗であり、摩耗が進行すると穴を掘ったような形態となり、堰堤のエプロン部や、砂礫を含む波浪が作用する海岸構造物のすり減りがこれに該当します。
すり減りを受けるコンクリートでは、表面に継続的に作用する外力によって、表層のモルタル層のすり減りが始まります。その後、粗骨材が露出して粗骨材自体のすり減りが始まり、同時に粗骨材を結合するモルタルのすり減りが進行し、やがて粗骨材が剥離するようになります。
一般にモルタルよりも粗骨材の方が、すり減り抵抗性が大きいため、硬い粗骨材が多く混入されているコンクリートほど、すり減り抵抗性は高くなります。