エトリンガイトはセメント中に含まれるアルミネート相(C₃A)と硫酸塩(石膏、硫酸マグネシウム等)が反応し生成します。
エトリンガイトが生成される状況は以下のとおりです。
【水和反応初期段階】
コンクリートが練り混ぜられ最初に起こる水和反応でエトリンガイトが生成されます。これがコンクリートの凝結や初期強度の発現に影響を与えています。
またアルミネート相が水と水和反応すると高い発熱と急結を引き起こします。そのため、コンクリートの急結を防ぐために石膏をセメントに加えることで急結を緩和させています。
【膨張材使用時】
エトリンガイトには膨張する性質があるため、ひび割れを防止する目的で使用される膨張材のなかにはエトリンガイトを生成させることでコンクリートを膨張させるタイプのものがあります。
【化学的浸食】
下水道・海水の作用を受ける、硫酸塩を含む土壌に接するあるいは温泉地などのコンクリート構造物は外部からの硫酸塩の影響で表層部にエトリンガイトが生成し、劣化させます。
対策として、アルミネート相を4%以下しか含有していない耐硫酸塩セメントの使用があります。
【DEF(遅延型エトリンガイトによるひび割れ)】
コンクリート打設後、数か月~数年でコンクリート内部でエトリンガイトが生成され、その後膨張してひび割れを発生させます。